中国美術 Art of Chinese
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磁州窯

 中国の磁州窯について解説していきます。

磁州窯とは

中国河北省磁県を中心につくられた製品の総称で、中国最大の窯場といわれる民窯です。その起源は唐代だと言われており、現在まで千年以上にわたって親しまれてきました。鉄分を含んだ灰色の素地に白土を化粧掛けし、様々な装飾を施して焼き上げられた陶磁器のことを指します。

そもそも陶磁器の発展は、時代の変化により大衆文化が栄えたからだと言われています。宋代以降、庶民の生活が活発化したことにより、陶磁器が広く普及するようになりました。宋代から元代にかけて盛んに焼かれた磁州窯は、人々の生活に欠かせない器だったそうです。

詳しくは後述しますが、磁州窯の中でも特に評価が高いといえるのが白黒掻落としと呼ばれるものであり、人気を誇りました。それだけでなく、緑釉手、飴釉手、宋三彩、宋赤絵、墨流し手、柿釉手、練上手、河南天目、油滴天目など、実に様々な技法によって多くの民窯でたくさんの製品が作られたのです。

歴史についてみてみると、1920年に掘られた井戸からたくさんの陶片が出土しました。その後、博物館による調査が行われたのですが、過去にあった河の氾濫によって埋没していた町があったことが明らかになったそうです。

これがきっかけで宋代陶磁の研究も進みました。特に白無地の白釉陶が多く出土したことが明らかになっています。

日本では古くから登り窯が使われていました。これは、傾斜地につくられた窯全体が煙突の働きをするような構造の窯で、日本だけでなく、朝鮮や南中国でもこういった形式の釜が使われていたのです。

一方で、磁州窯は円形であることが特徴の一つだといえるでしょう。傾斜地に作られる登り窯とは違い、平地に築窯されるのも特徴的です。燃料としているのは石炭であり、その燃料を確保しやすくするために炭鉱の近くに設置されるケースが多くあります。

磁州窯の特徴

磁州窯は、暖かみのある素朴な雰囲気が特徴です。その力強い作風は、庶民を中心に愛されるようになり、あらゆる民窯で焼かれていました。主に生活の中での実用的な器として、皿や瓶、壺などが多く作られていたそうです。

また、多彩な装飾も魅力のひとつだと言えるでしょう。青磁や白磁と比べると、絵画的な趣向が取り入れられています。後にさまざまな装飾技法が考えられ、その表現方法は時代とともに変化していきました。民衆たちの自由な風土の中から作り出されたからこそ、あらゆる装飾が生まれたのかもしれません。

代表的な装飾技法

磁州窯の装飾技法の中でも、代表的なのが「白黒掻落とし」です。白化粧した素地に黒泥を掛けた後、黒泥のみを掻き落として模様が描かれます。白と黒のコントラストが美しいと評判で、現在も高い評価を得ているそうです。他にも、刻花や印花といった彫刻的な技法を用いたり、黄色や赤などの顔料で模様を描いたりと、多様な磁州窯が産生されています。

磁州窯では白化粧陶器も多く作られました。この大きな特徴といえるのが、少し鉄分を含んでいる土に白化粧をした上で透明釉をかけて焼きあげるということ。白化粧の上から文様を彫る形になるのです。この時、少し白化粧を削り取る形になります。すると、下にある鼠色の素地が出てくるのです。

従来の白磁と比べてみてもはっきりとした文様が浮かび上がってくるのが大きな特徴だともいえるでしょう。11世紀の終わりから12世紀の初めにかけて筆に黒い鉄絵の具をとって文様を描く技法も取り扱われるようになりました。

磁州窯だけでなく、中国の南方の窯などでもこういった技法が取り入れられるようになり、広く広まっています。

吉州窯でもこういった技法がみられるようになりましたが、こちらの大きな特徴は直接素地に黒く描くため、磁州窯で作られたもののようにメリハリのある文様ではなく、薄くなるのです。

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磁州窯の魅力

磁州窯の焼き物は、様々な表現方法によって美しさを表しています。装飾に関してもいくつかの技法が考えられ、一口に磁州窯での焼き物といっても製品によって全く雰囲気が異なるともいえるでしょう。やはり、この点がとても大きな特徴であり、魅力だともいえます。

とてもシンプルなものについては白化粧だけを施した白無地のものが主流ではありますが、更に線刻で文様を表わした上品なものなどたくさんの種類があるため、製品によって楽しみ方も広がるでしょう。

一般的に磁州窯で作られた製品といえば胎土が厚い物が主流なのですが、中には独特の器形でデザインされているものもあります。こちらについては宋代の物が定番となっており、その美しさが評価されて日本でも「絵高麗」と呼ばれ愛されているのです。

骨董品に興味があって情報を集めている方も多いと思いますが、磁州窯で作られたものは種類が多く様々な特徴を持つことから、コレクターの間でも人気があります。物によって違った特徴があるため磁州窯であるかどうかを判断するために鑑定に出されることも多く、テレビの人気鑑定番組などでもたびたび登場している製品です。

中国時では、「宋磁」と呼ばれるものが最高峰とされています。これは数あるものの中でも美の頂点に達したものが該当するのですが、磁州窯で作られたものの中にも宋磁があるのです。名品と名高い焼き物の中にも磁州窯で作られたものがあることから、歴史的な価値のある焼き物の製造において欠かせないものだったともいえます。

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