これから中国美術について知っていきたい人から、趣味にしたい人まで。中国美術を学びたい人のためのサイトです。
時代、ジャンル、中国美術を極めたい人向けの記事を豊富に用意しております。あなたが中国美術に触れる際の、お役に立てる入門書となりますように。
このサイトは本郷美術骨董館をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。
現代中国絵画の代表的な画家の一人として知られる、呉冠中。西洋と中国の手法の融合を追及し続け、独自のスタイルを確立した中国美術界の巨匠です。彼はどのような人生を歩み、どのような作品を残し、画壇にどれほどの影響を与えたのでしょうか?彼の人となりや代表作について紹介いたします。
呉冠中は1919年、中国の江蘇省宜興で生まれました。杭州芸専附属中学で李超士・方幹民に油画を学んだ後、1942年に国立杭州美術学校を卒業。1946年に教育省派遣留学生として渡仏し、パリ国立高等芸術学校でスフォルピに学びました。
1950年に帰国して教員となり、中央美術学院、清華大学・北京芸術師範学院などで教鞭をとります。その後、裸婦画を政府に非難され、文化大革命初期に下放。一時画家生命を絶たれますが、1970年代初めに復帰を許され、1978年には中央工芸美術学院で初めて個展を開催しました。
1992年には、大英博物館にて現代中国人芸術家として個人展を開催。アメリカ、日本、香港、シンガポールなどの展覧会にも参加し、2002年にフランス学院アカデミー会員になります。
中国工芸美術学院教授、中国美術家協会常務理事なども務め、2010年に逝去。享年は91歳でした。文革期に農村へ下放されるなど多難な人生の中、西洋の油絵と中国の水墨画の手法を融合させ独自のスタイルを確立するなど、画壇の中でも秀でた人物だったといえましょう。
ゴッホとモーリス・ユトリロの影響を強く受け、情感たっぷりの抽象的作風で知られる呉冠中ですが、彼の画風の根本には、中国美術と西洋美術の融合があります。元々は、彼が師事した林風眠の提唱によるものですが、呉冠中は自らも融合の方法を模索、追及を続け、ついに、西洋の油絵と中国の水墨画の手法を融合させ、独自のスタイルを完成させました。
香港芸術館に所蔵されている『水郷の町並み』は彼の傑作の一つですが、こちらの油絵では、まさしく中国と西洋美術の手法の融合がふんだんに導入されています。
文字通り、這い出る隙間もないほど櫛比するビル群を描いた作品です。人間生活の活力を感じる一方、繊細なタッチにノスタルジーを感じさせてくれます。
上海近郊の美しくのどかな水郷、周荘をモチーフにした傑作です。素朴な家々と水郷を象徴する丸い橋の描き方が情感たっぷりです。
監修本郷美術骨董館
「やさしく解説!みんなの中国美術入門」は、骨董品買取の専門店として40年以上の実績を誇る本郷美術骨董館が監修しています。
公式HPはこちら