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釉裡紅

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ここでは、中国美術の一つとして高い評価を集めている釉裏紅について、概要や歴史、価値などを詳しく解説しています。釉裏紅をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

釉裏紅(ゆうりこう)とはどのようなもの?

釉裏紅とは、白磁の素地に紅色の画が描かれた陶磁器。酸化銅を含む顔料で画を描き、窯の温度を微調整しながら仕上げる中国の骨董美術です。

1,300度以上の高温で焼き上げますが、温度が低めになると画が黒味を帯び、逆に温度が高めになると画が飛ぶなど、釉裏紅の製作プロセスにおける温度管理は、非常に難しいとされています。

1つの釉裏紅を作るためには、膨大な手間と高度な温度管理技術が必要であることから、現代では本物の釉裏紅を作る窯は、ほとんど存在しません。結果、必然的に釉裏紅の希少価値は高まる、ということになります。

釉裏紅の歴史

釉裏紅の歴史について、その作風や仕上がりの違いを基準に、草創期・早期・中期・後期に分けて見ていきましょう。

草創期

釉裏紅が作られ始めた時期は、元至正年の初期(1341年ごろ)と考えられています。有名な景徳鎮が、その発祥の地です。

この時期はまだ釉裏紅の草創期ということもあり、全体的に粗さが目立ちます。表面にデコボコした気泡が点在したり、赤の発色具合が均一でなかったり、ボディが粗大だったりなどです。

早期

元時代の最後の10年ごろから、釉裏紅のクオリティが上がってきます。デコボコした気泡が少なくなり、表面の仕上がりが光潔になり、また、赤の発色具合も均一になってきました。

ただしこの時代の釉裏紅の赤は、前期のような鮮やかな紅色でなく、深紅色や薄紅色、暗紅色などの色調が多め。素材の酸化不足や温度制御の変更、生産量の事情などが背景にあると思われます。

中期

明時代(洪武)に入ると、景徳鎮では、実用品としての釉裏紅が多く生産されるようになりました。

飾りや仕上げは元時代のものよりも向上したものの、量産体制を背景にした原価削減のためか、器自体や釉(うわぐすり)が薄くなったり、紅の発色も薄くなったりなどの傾向が見られます。

後期

明の永楽時代、宣徳時代の釉裏紅は、草創期の冴えるような紅色が復活。発色具合は均一となり、デコボコした気泡も全くなくなりました。非常に完成度が高く、釉裏紅の「成熟期」とも言われています。

釉裏紅の魅力

釉裏紅の魅力は、何よりも紅色の発色にあります。発色の状態は、顔料を十分に酸化させることや窯の温度の細かい管理など、作者による経験の集大成が左右するもの。鮮やかな紅色の発色を出すことは、非常に難しいとされています。

発色の他にも、描かれた画の対象や筆のレベル、表面の気泡の有無、釉の厚さなど、様々な要素によって釉裏紅の価値が決まります。

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