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中国美術の一つとして多くのファンを持つ田黄。長年にわたり「石印材の王者」と呼ばれている希少な石材の一種です。ここでは、田黄の概要や種類、骨董品としての魅力についてご紹介します。
田黄とは、中国で古くから印鑑の素材とされてきた天然石の一つ。中国福建省寿山郷にある田黄坂、およびその周辺の田んぼなどから採取される石で、その名の通り、やや黄色味がかった色合いをしているのが特徴です。
詳しくは後述しますが、同じ田黄であっても、個体によって様々な色合いや雰囲気を持つ点が田黄の魅力。特に色合いの違いにより、枇杷黄や橘皮黄など、様々な種類に分けられます。
なお田黄は、中国清代の初期までにほぼ採取されつくしたとされていますが、実際には、現代でもなお採取が続けられているとのこと。ただし田黄を見つけることは金鉱山を発見するほど難しいとも言われることから、採取を志した人の中には、最後まで田黄を発見できずに破産してしまう人も少なくないようです。
希少かつ貴重な石材だからこそ、市場には多くの偽物が流通しているとも言われています。
田黄石は、その色合いや透明感などの違いに応じ、様々な名前が付けられています。代表的な田黄石の種類を見てみましょう。
他にも、金抱銀(金銀田)や銀抱金(銀裏金)、渓管独石、硬田など、黄田石には実に様々な種類があります。
田黄として認定されるには、温・潤・細・結・凝・膩の「六徳」が備わっていなければなりません。この「六徳」が備わっていることが田黄の魅力となります。その上で、鑑賞する際には次の視点からも石を眺めてみましょう。
全ての田黄は黄色味がかった色をしていますが、その濃さは石それぞれで違います。濃い黄色もあれば薄い黄色もあります。同じ石でも、部分によって色合いの濃さが違うこともあるでしょう。
透明感の有無や程度も、田黄を鑑賞するときのポイントになります。ただし、透明感が強いほうが良いか、それとも弱いほうが良いかは、鑑賞者の好みによって分かれることでしょう。
蘿蔔紋(らふくもん)の蘿蔔とは、野菜の大根のこと。一部の識者の中には、「蘿蔔紋(らふくもん)がなければ田黄とは認められない」とする人もいるなど、田黄を鑑賞する上で非常に貴重な基準となります。
個体の数だけ種類があると言っても良い田黄だからこそ、上記のような鑑賞基準よりも、むしろ鑑賞者それぞれの好みを大切にしたほうが良いとする識者もいます。一般に言われている一切の鑑賞基準を排除し、自分自身で最高と思える田黄を探し続けることも、とても魅力的な鑑賞方法と言えるでしょう。
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