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中国の印材について歴史をたどります。
中国の印材はとても歴史が古く、三千年前まで遡れます。当初は身近にあった粘土に模様を篆刻し、それを押すことで模様や記号を手軽に量産していきました。
つまり、スタンプを作ったのです。
戦国時代では、政治の場や商品の取引の際に使用され、竹簡や木簡に印が押されました。その時代の印に使われていた材質は、多くが銅・銀・玉です。
秦の始皇帝では印象制度という、皇帝や官吏の位を印で表す制度が整えられました。
大きさや形、持つ部分(鈕)のデザインで位や役職が表され、この制度は漢の時代でも引き継がれました。
漢代では鳥や魚といった、動物や虫を題材にした書体が人気でした。
当初は封泥(粘土の塊)に印が押されていましたが、隋の時代になると「紙に捺印する」ことが一般化されていきました。
紙に判を押しやすくするため、陰刻(くぼませるような彫り方)から陽刻(浮き上がらせるような彫り方)へと変化し、サイズも大きなものに。
次第に、印に美しさや芸術性が求められるようになり、文人や書家たちは美しい書体を極めていきました。
一方、セキュリティ強化のために、独特な書体が宋代~清代で使われましたが、文人や書画たちにとってはナンセンスだったのか、一切彼らに認められることはありませんでした。
印材(印の材質)は、印の歴史が始まった粘土から、銅・銀・玉へと変化し、そのほかにも竹や木材といった、多種多様な素材が用いられるように。
明や清の時代で、篆刻家たちの間では、掘りやすいことから練習用として愛された寿山石や青田石、鮮やかで美しい赤色の鶏血石が流行りました。
「印」は、見た目のみならず、書体や素材、印がもつ意味が長い時を経て、変化していき、現代にまで伝わっています。
もの自体は大きなものではありませんが、非常に深い歴史を持っている、中国の美術品と言えるでしょう。
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