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古墨

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古墨とは製造されてから長い年月を経ている墨で、主に文字を書く際に使用されていたものです。

古代中国の古墨の歴史と発展

殷・周時代の土器や木簡に文字が書かれているものが発見されており、この頃から墨が使用されたのが始まりではないかといわれています。固形の墨が使われ出したのは漢時代からといわれ、主に松煙と石墨が原料でした。

唐時代には墨匠と呼ばれる墨作り職人が登場し始め、徽州で盛んに墨作りが行われていました。現代においても徽州は墨作りが栄えています。

宋時代になると文房趣味が盛んになり、製墨業も栄え始め、南宋時代には油煙墨が普及したといわれています。

明時代には名墨匠が多く存在し、形式も現代のようになり品質も優れたものが作られ、この頃が製墨の最頂点といわれています。そのため、この時代の古墨は特に貴重といわれています。この頃は墨造りも企業的となり、需要の増大から個人の名が後退し、家名・店舗名がクローズアップされるようになりました。程君房・方于魯は、その代表格とされています。

清時代には文化政策から製墨業は一段と盛んになり、「乾隆御墨」として現在に伝わっております。

古墨の原料による違い

松煙墨

明時代まで主に普及していた古墨で、松の木片を燃焼させて煤を採取して製造します。松煙墨は、燃焼温度にむらがあって大小さまざまな粒子のすすが混在し、複雑な墨色を呈します。 濃墨では厚みのある艶を感じさせない黒(漆黒)となり、淡墨では青灰色を帯びた墨色になります。このように松煙墨は重厚な黒味から青灰色に至るまで墨色に幅があります。

油煙墨

清時代に普及した古墨で、土器に油を入れ灯芯をともし、土器の蓋についた煤を集めて製造します。油煙墨の材料は、菜種・胡麻・つばき・桐と複数あり、中でも菜種油が最適とされています。黒色に光沢と深みがあるのが特徴です。油煙は松煙に比べてすすの粒子が非常に細かく、均一です。墨の色は艶と深みのある純黒で、硯あたりも滑らかです。墨のすり口を見ると、強い光沢があり、良い油煙墨ほどこの光沢が強くなります。

代表的な古墨【乾隆御墨】

清時代の乾隆帝は文芸清玩の趣味を持っており、手腕の優れた墨匠に依頼し精巧で絢爛な墨を作らせました。それが乾隆御墨と呼ばれるもので、漆仕上げの墨に純金で文字が書かれた特徴を持っています。乾隆御墨は別名清墨といい、油煙墨がほとんどで松煙墨はほとんど見られません。献上された乾墨御墨は宮中で使用される事がほとんどですが、まれに使用されずに残っているものがあり、これらは大変貴重とされています。

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