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中国の書画の掛け軸には、何故印が押されているのでしょうか?
書画家が作品を手がけた際に、制作日時(いつ)や作者名(だれが)や詩文(どこでどんな目的のために)を書きつけることがあります。では、それはどんな意味があるのでしょうか。
「この作品は私が手がけましたよ」という意味だけでなく、その作品が完成品であること、正式に自分が手がけたという責任を表す…という、意外と深い意味があるのです。
先に説明したとおり、落款には「この作品が完成品であること」「この作品は正式に自分が手がけた」という意味があります。
しかし、美術品の落款には、少し違った役割が持たせられます。
それは、落款自体が芸術作品であること。芸術性が高い作品に、美しい印影の落款があるだけで、より作品としての価値が高まり、仮に貧弱な落款になると、作品の価値が損なわれてしまうことも。
つまり落款によって、作品の芸術性が左右されるともいえるのです。
人によっては落款にこだわりを持つ作家もおり、作品によって押し方を変えたりすることもあるそう。
傍から見たら、どんな違いがあるのかは、想像でしかできませんが、作家にとってはとても意味のある行為で、重要な印(しるし)と言えます。
もう1つ落款には意味が含まれています。それは、「これは自分のものである」という象徴があります。
たまに、美術品を紹介する番組で、やたらと印が押されている作品を見たことはありませんか?
あれは、「自分の所有物である」という意味で押されており、作品の持ち主が印の数だけ変わっていったことがわかります。
何気なく掛け軸や美術品に存在する落款ですが、単なる判子ではありません。
作品に落款がある場合は、作品だけでなく、落款そのものをよく見てみると良いでしょう。
その落款にはどのような意味があるのか。
それを考えただけでも、形や色、作品全体を見た時の落款の印象が随分と違ってくると思います。
骨董品の価値を見分ける重要なポイントのひとつが「作家物であること」です。作家物とは、有名な作家が作った骨董品のことをいいます。見た目が同じものに見える作品でも、本物か贋作かで価値が数十~数百万円も変わってくるのです。一般的に知られていない作品でも、本物であれば高い価値がつく場合も。
これらを作家物かどうか簡単に見分ける方法が、作家の印である落款のありなしなのです。落款は、作品を収めている共箱(ともばこ)や作品の裏側などで確認できます。落款があれば作家の名前が分かるので、高い価値を持った骨董品である可能性も十分に考えられるでしょう。
なかには、落款の文字が読みづらくて作家が特定できないものも多く存在するので、そんな時は専門の鑑定士に鑑定を依頼してみてくださいね。
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