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中国の美術をもっと知るための情報を紹介していきます。
中国の美術と聞くと、皆さんはどんなイメージがありますか?中国の美術は王朝の歴史とともに歩んできました。また、その歴史の中心となったのは漢民族と言えるでしょう。古代の中国美術は現代も大河として国内を流れる黄河を中心に繁栄した「彩陶」、殷・周の時代の「青銅器」などが代表となります。秦や漢の時代になると、西方文化と呼ばれる時代に沿った文化の影響や、儒教思想を背景に、思想に沿った中国独自の美術形式が生まれました。後漢の時代に繁栄した石造の墳墓、墓前の石祠堂、石闕に浮彫や線刻で画像を表わした「画像石」は、まさにその代表例です。六朝時代に仏教美術が伝来し、石窟美術をはじめ仏像、仏画、諸工芸が繁栄します。
そして、隋と唐の時代に最盛期を迎えます。イランやインド、西域など様々な国の広い地域の美術が伝えられたのも、この時代と言われています。中国の美術は東西の国からの伝来が多く、先ほど述べたインドやペルシアをはじめ、さらにはヨーロッパ圏である、ギリシャやローマ、さらにはエジプトといった、いわゆる西方文化は、中国文化の形成に多大なる影響を及ぼしています。
例えば、中国美術を華麗に織り成し、代表される綾錦ならば、経糸(たていと)は古代より伝わる中国固有の伝統美術であり、逆に緯(よこ)糸は西方からの外来美術となります。唐の時代中期には、今でも主流となっている独特の水墨画が繁栄します。そして、五代、宋の時代以降、仏教美術は衰退の一途をたどり、現代でも主流となっている鑑賞主義を第一とする美術となります。王朝末期、清の滅亡をきっかけとして、中国美術はそれまでの美術に変動を迎えます。つまり、西洋美術が大きく影響します。
美術品にはさまざまな鑑賞の仕方があります。
しかし初心者の方にとって、どのように美術品を鑑賞すればよいかわからないでしょう。まずは固定観念を持たず、真っ直ぐ作品と向き合うことが大切です。まっさらな感覚で作品を眺めると、そこからはいろいろなものが見えてきます。たとえば同じ絵画を鑑賞しても、ある人は「色の使い方が素晴らしい」と感じ、またある人は「構図が絶妙」と評価する。もっと極端に言ってしまえば、「好きか」「嫌いか」でもいいのです。さらに「どうしてこの作品にひかれるのか?」を考え始めると、色や構図、形だけでなく、作られた意図、歴史などにも興味がわいてきます。
「人」や「自然」など、なにかテーマがあればいいのですが、難しいのは抽象画ですよね、美術に関心がない人にとっては「形のないもの」なので、なかなか難解。例えばインターネットや作品集で見てみるとなんとも感じなかった作品を実際に大きなキャンバスで描かれた美術館で実際に見られてはいかがでしょうか?
例えばその絵の質感や迫力は実際に見てみると感じ方が変わってくるはずです。インターネットでいくらでも見れる美術品を画面だけでなく、足を運んで美術館で絵を見る、という行動の意味はまさにそこにあります。また、その画家の生涯やテーマ、解説なども参考に作品に対しての理解を深めてみても参考になりますよ。
美術鑑賞がより面白くなってくるのはここからです。中国美術も同様で、作品を取り巻く背景を知れば知るほど、自身の鑑賞眼も養うことができます。中国美術の場合は、思想や文学に影響された作品が少なくありません。
そのひとつが古代中国より伝来する「神仙思想」です。
これは神仙術(養生・錬丹・方術など)と呼ばれる、神人や仙人になることを目的とする思想で、最終的な目的は不老長生、つまり不老不死とされています。前漢より伝わる「史記」には、中国の三神山(蓬莱、方丈、瀛州)には不死の薬を持っている仙人がいると記されています。他にも3千人もの弟子を率いた孔子の儒教思想、尊敬し合い思いやる「仁」と、内に備わるその「仁」が、他人に対しての態度や日々の行為として外面に表現された「礼」を基本とし、内面での「仁」を「礼」として外面に表すことを「克己復礼(こっきふくれい) 」と説かれた孔子の思想は中国全土に伝わります。そして彼の記した「論語」は現代でも生き続ける名著として伝わっています。
他にも、書画を例にとると、有名な言葉や思想家自身の姿が描かれている。また高名作家の書や絵も残されています。このような角度で作品を鑑賞してみると、一歩踏み込んだ楽しみ方ができるでしょう。
中国美術に直接触れる方法としては、まず作品を所蔵、公開している美術館、博物館に足を運ぶことです。特別展などでは、海外からの出品もありますから貴重な作品をみることができます。また骨董品店などの古美術商でも、中国の美術品を扱っているところがあります。売り場と別にギャラリーを設けている店舗では、純粋に鑑賞も可能です。
余裕があれば、やはり本場の博物館や美術館がおすすめ。
特に、台湾にある「故宮博物院」なら、中国王朝の歴代の皇帝らによって収集された、北京の紫禁城(故宮)に保管されていた歴史的文化財を保存、展示されているので、1日では回り切れないほどの美術品を楽しむことができる台湾に来たら欠かせない観光スポットと言えます。歴史あるお宝の数々が並ぶ「故宮博物院」は、フランスのルーブル美術館、アメリカのメトロポリタン美術館、ロシアのエルミタージュ美術館と肩を並べる世界四大博物館の1つ。故宮博物院には、なんとおよそ70万点近くの収蔵品があるといわれています。しかし、常時展示している品は、その1割程度の6000~8000点。特に有名な宝物数百点を除いては、基本的に3~6カ月おきに展示品を入れ替えているので、その収蔵品すべてを見るためには、なんと10年以上はかかるとも言われています。1日どころの話ではありませんでした……。10年以上です。
収蔵品されている玉器は王朝文化よりはるか古代の8000年前のものから、5500年前の新石器時代の翡翠の彫り物や、4400年前に存在した陶器、3300年前から存在する青銅器・象形文字、秦の始皇帝の時代や、日本の古墳時代、さらには、隋王朝、唐王朝、宋王朝、元王朝、明王朝、清王朝の歴代宮廷の収蔵文物を継承。その内容も数も世界四大博物館に数えられるほど、十分な内容となっています。これらの文物の発展は、近代中国社会の変遷と密接な関係があり、まさに中国芸術文化の歴史の集大成と言えます。
そんな、歴史ある「故宮博物院」でも有名な展示物と言えば、虫がとまった白菜の形に彫刻した高さ19センチメートルの美術品の「翠玉白菜」、清朝時代に作られ、東坡肉(とんぽうろう)を模し、3層になっている石に加工を施した「肉形石」など。他にも、オリーブの種に8人が乗った船を模し、精緻の神業との呼び声も高い「雕橄欖核舟」、象牙の塊を球に削り出し、21層を織りなし、さらにはそれぞれが回転することができ、球には継ぎ目のない中国の究極の工芸品として名高い「彫象牙透花雲龍紋套球 」は不可能物体として認知されています。中国、清の道光年間の末期に、陝西省岐山県で出土されたといわれる鼎の中でも長文の銘文をもつものとして、獣の足を模した「毛公鼎」は、歴史的資料としても価値のある美術品として有名です。これらの展示物は、「故宮博物院」が誇る5大宝物と呼ばれています。
そもそも、中国王朝の歴史的美術品が詰まった「故宮博物院」は、なぜ中国ではなく、台湾にあるのでしょうか。その歴史は、辛亥革命によって清朝が倒されたことから始まります。辛亥革命とは、かの孫文らを中心に、歴史ある中国皇帝の歴史に終止符が打たれ、中華民国が建国された歴史的な革命です。革命時、紫禁城に存在した膨大な数の歴代皇帝の美術品は、皇帝は去ったものの、歴代皇帝たちの持ち物として、民衆に自らの正当性をアピールするためにとても有効でした。そこで、中華民国政府は革命記念日に合わせて5万人もの民衆に紫禁城と財宝の数々を一般公開する施策にでます。それが故宮博物院のはじまり、と言われています。つまり、この時点では中国本土にあったのです。
やがて孫文の後継者・蒋介石が北京に入城し、数々の問題はあったものの、中国再統一という形が取られます。しかし、激動の時代がきます。中華民国は満州事変を皮切りに日本軍による中国侵攻がはじまります。その戦火は北京にも渡り、数々の美術品が収納されている紫禁城にあった文物は疎開を余儀なくされます。
そして1937年。美術品は当時首都だった南京に移されますが、そこにも戦火が侵攻し、南京からさらに四川省や桂林方面へ大陸の奥地と分散し保管されます。1945年、終戦を迎えた日本軍が去ったあとも、中国本土では毛沢東の共産党対蒋介石の国民党による内戦が勃発します。やがて蒋介石は敗北し、大陸から台湾に移り住むことを決意します。
こうして、北京紫禁城にあった無数の文物は台湾に渡ったのです。その背景には、戦火の歴史があったのですね。
このように、台湾にある「故宮博物院」をはじめ、中国には数多くのアートスポットが点在。新旧の中国美術を堪能することができるでしょう。
国立故宮博物院は中華民国(台湾)の台北市にあり、中国の文化遺産を後世に伝える施設として世界四大博物館の一つに数えられており、古代から近代までの磁器や絵画、法書、彫刻、法帖など約70万点の中国美術や歴史的資料が収蔵されています。
故宮博物院は、元々清朝最後の宮殿だった紫禁城をそのまま博物館にしたものですが、日中戦争が勃発した際に、博物院の文物は中国各地に避難されました。第二次世界大戦後、国民党中央政府が故宮博物院および中央博物院籌備処の文物を台湾へ移して故宮博物院として開館。なお、紫禁城(北京市)の故宮博物院も博物館となっています。
中国美術の背景には、殷から清までの王朝文化や政治、三教と呼ばれる仏教・儒教・道教の影響があります。古代中国の作品には、神仙思想をモチーフとした像や絵画が多く見られるのが特徴。また、孔子を祖として発展した儒教は、現代にも通ずる考えが教養となり、中国美術とも切り離せないものになりました。そして5世紀以降には、仏教が隆盛して多くの寺院、石窟寺院などが造られ、仏像や仏を描いた絵が奉納されました。唐代までは壁画が中心でしたが、唐以降は宮廷画家が仏画を制作するなど、仏教をテーマにした書物や絵画などが多くなっていきます。
「思想が影響を与えた?中国美術との関係について」について詳しくはこちら>>
中国で初めて文字で資料や記録が書かれたのは紀元前13世紀頃で、現存する最古の記録は殷時代の「卜辞」とされ、文学の始まりは「詩経」と伝えられています。初めて文学という言葉が使われたのは論語ですが、この当時は学問や文化全般を意味していました。現在の文学の概念は5世紀の劉宋(南朝)に生まれましたが、この頃は上流階層に限られた詩が主流で、大衆文学として普及するのは元・明代以降です。
中国には「詩書画一致」「書画同源」という考え方があり、詩と絵画は切り離すことができない同等のものと位置づけられ、詩における書体、詩の世界観を表した絵画は、芸術と文学が織りなす中国独特の美術といえるでしょう。
中国では早くから焼き物が作られており、その歴史は新石器時代から始まります。宋代になると磁器製造技術が進み、中国陶磁器の最盛期となりました。世界的に名高い陶磁器の名産地「景徳鎮」は、景徳年間に良品が作られたことから、北宋の皇帝真宗が「景徳」という名を授けました。良質な土と窯の燃料になる松が豊富であったことと、物流の拠点として栄えていたことで、一躍世界に流通することに。さらに時代を経るごとに新しい技術を採用したことで、世界の王族や皇族を魅了することになりました。現在も陶磁器生産を行っており、多くの観光客を集めています。
「景徳鎮で美術品が発展したのは?」について詳しくはこちら>>
作家の印である落款の有無は骨董品の価値を決める重要なポイントです。中国の書画の掛け軸には、落款が押されていますが、これは単に作者を表記するだけでなく、作者が最後まで責任を持って作品を完成させたという意味も込められています。
美術品の場合は、芸術性が高い作品には落款があるだけですが、落款自体もそのように判断されて、作家によっては作品で押し方を変えるなど、落款に一目置く人もいます。また、落款には所有物としての意味が含まれ、作品の持ち主が印の数だけ変わっていったケースもあるのです。
「書画・絵画に印が押されている理由」について詳しくはこちら>>
中国美術の掛け軸の買取についてはいくつか重要なポイントがあります。作家もその一つで、歴史的価値のある作家の落款がある掛け軸ならば、高い価値があります。
作家名がわからない場合は、掛け軸の裏面や掛け軸を入れる共箱をチェック。共箱にも掛け軸の題名や署名が記載されています。また、掛け軸の保存状態も価値を左右する重要な要素で、大切に押入れなどに保管しておくと、かえって劣化してしまう恐れがあります。
掛け軸の取り扱う場合は、必ず乾いた手で触れるか手袋を着用し、紙を触れないように軸先を持って、ゆとりを持ちながら巻くようにしましょう。
「掛け軸を高く買取してもらう方法」について詳しくはこちら>>
中国美術を含め多くの芸術品の保管には、湿度の管理が大切です。湿度が高いと、木製品はカビが繁殖し、金属製品では酸化して黒ずむなど腐食を進行させる原因となります。絵画などは紫外線も大敵。直射日光が当たるような場所に飾っておくと、紫外線によって仕上げの色や製品の素材にひび割れなどの損傷を起こす恐れがあります。
美術品を移動する場合にも注意を払う必要があります。長距離や屋外での移動には、美術品専門の配送を手がける運送業者をチェック。なお万一移動中に美術品が破損した時は、一時的な応急処置をせず、専門店で修理するようにします。
「「高品質を維持するため」中国美術のおすすめ保管方法」について詳しくはこちら>>
骨董品を購入する時には、骨董品や美術品を専門としている骨董商や美術商から購入すると安心です。中国美術を扱う骨董商は、商品の歴史や美術品にかかわる知識、手入れや保管方法など豊富な知識があるので、納得した上で購入ができます。骨董商の店主とはいろいろ会話し、情報を得るようにします。また、古美術を専門に扱う美術商は、歴史のある絵画や彫刻、書画など幅広く扱っているので「美術の枠」を広げることができます。
インターネットのオークションやネットショッピングは、美術品でも簡単に購入できますが、本物を選びにくく品物を判断することが難しいため、購入する時には十分注意しましょう。
監修本郷美術骨董館
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