これから中国美術について知っていきたい人から、趣味にしたい人まで。中国美術を学びたい人のためのサイトです。
時代、ジャンル、中国美術を極めたい人向けの記事を豊富に用意しております。あなたが中国美術に触れる際の、お役に立てる入門書となりますように。
このサイトは本郷美術骨董館をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。
ここでは東洋で人気の高い翡翠について解説していきます。特徴や翡翠と呼ばれる由来、良質な翡翠の見分け方などを詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
緑色の美しい宝石として人気の高い翡翠。特に日本や中国では「東洋の宝石」と称されるほど、古くから珍重されてきました。翡翠には硬玉と軟玉の2種類があり、そのうちの硬玉は宝石として扱われています。主な産出地としては、ミャンマーやアメリカ、ロシア、グアテマラなど。日本でも硬玉が産出されています。
軟玉は、特に翡翠を珍重していた古代中国では実用品や装飾品として使用されていました。また、軟玉は彫刻といった装飾が施されることが多く、竜の形にかたどったものなど細かな細工を施した作品も多く見られます。軟玉の主な産出地は中国やアメリカ、ニュージランドなどが挙げられます。
翡翠は、もともと中国でメノウやそのほかの宝石とともに美しい石の象徴として「玉」と呼ばれていました。中国で翡翠はカワセミを指す言葉とされており、「翡」は赤色を指し、「翠」は緑色を意味します。カワセミの赤いお腹と緑色の羽の特徴に例えられ名づけられました。また「翡」という字はオス、「翠」はメスを表しているとも言われています。
古代の日本においては、玉を「たま」、カワセミのことは「しょうびん」と呼称していたとされており、翡翠という名前で呼んでいたという記録はありません。翡翠という言葉は、比較的新しい時代に中国から渡ってきたと考えられています。
そんな日本での翡翠の歴史は縄文時代にまでさかのぼるとされており、日本各地の遺跡から副葬品として翡翠が数多く出土しています。
一言で翡翠といっても、翡翠は「ジェダイト」と「ネフライト」の2種類に分類されます。それぞれ異なる鉱物である「ジェダイト」と「ネフライト」。ここではその2種類の特徴について詳しく解説していきます。
「硬玉」と称され、ヒスイ輝石として取り扱われているのがジェダイトで、古くから宝飾品として利用されていました。中国では「玉」と呼称されていて、装飾品としても使用されてきたとされています。日本でも勾玉の材料として利用され、日本各地の多くの遺跡から発掘されてきました。
変成岩に産出されるヒスイ輝石は、純度の高いものだと白色をしています。ただし、クロムや鉄などを含有することにより、緑色や紫色といった色に変化するのです。産出地としてはミャンマーやグアテマラ、アメリカなどが挙げられますが、日本の新潟県糸魚川地域でも産出されています。
硬玉とよばれているジェダイトに対して、ネフライトは「軟玉」と呼称されており、一般的な宝石と呼ばれるジェダイトとは全く異なる石です。古代中国ではネフライトは宝石として扱われていましたが、時代が進むにつれてジェダイトが産出されたことにより、それぞれ区別されるように。硬度が高いジェダイトに比べて硬度がやや低いことからネフライトと名付けられました。
ネフライトしか産出されない中国では、中国産のネフライトをジェダイトと偽る模造品が見つかっています。一見ジェダイトに比べて価値が低いと思われがちなネフライトですが、ネフライトのなかには白みを帯び透明度の高いものは「羊脂玉」と称されるものも。質の良いものであればジェダイトより高値で取引されることがあります。
翡翠といえば、緑色のイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
ここからもわかる通り、翡翠の中では最もなじみの深い色だといえます。
ただ、その中でも様々な緑色があり、深手のあるモスグリーンや明るいアップルグリーンなどが代表的です。
緑色は翡翠の中でも特に高級品質のものとされており、その中でも最高級といわれているのが「ろうかん」と呼ばれる緑色です。
紫色の翡翠は「ラベンダー翡翠」と呼ばれることもあります。
一般的に翡翠=緑色と考える方も多いのですが、紫色はその緑色に次いで人気の高い色だといえるでしょう。
こちらも緑色と同じく紫色中でも非常に幅広い色合いがあり、ピンクに近いものやブルーに近いものなど、翡翠によって見え方は様々です。
中でも貴重とされているのが透明度が高くて色が濃いもの。こういったものは高く評価されています。
もともと、翡翠は無色透明です。
ですが、長い年月をかけて結晶となる際に、周りの環境を受けて地中の成分を取り込み、多くの色合いに変わっていきます。
翡翠に全く影響を与えない成分の環境はほぼないので、無色透明の翡翠は非常に珍しいといえるでしょう。
透明度が高い鋳物に関しては、アイスジェイドとも呼ばれており、とても透き通っていて人気があります。
色がついているタイプの翡翠に比べるとやわらかに光を通すのも特徴だといえるでしょう。
翡翠の中でも非常に数が少ないのが赤色です。
赤くなる原因については、鉄分が関係しているといわれています。
ただ、赤系の翡翠の中でもあまり透明度が高くないものもあり、そういったものに関してはそれほど希少価値が高いとはいえません。
逆に、非常に透明度の高いものに関しては珍しいだけでなく美しさも注目されています。
一般的には緑や紫系に比べると安価で取引されますが、中にはそれよりも価値が高いものも存在しているのです。
黄色系の翡翠は鮮やかなイエローから、オレンジよりのものまで様々な色合いがあります。
こちらも希少色として知られているので、珍しいものを取り入れたいと思っている方はぜひともチェックしてみてください。
黄色になるのは鉄分を取り込んだことが理由とされています。
そもそも取れる量が少ないということもあり、その中でも透明度の高いものは更に希少価値が高くなります。
やわらかで美しい色合いが特徴です。
青系は、幻の翡翠と呼ばれるほど高品質なものもあり、コレクターの間でも人気が高いです。
特にガラス質や透明度が高いものに関しては非常に高値で取引されることもあります。
一般的な翡翠のイメージである緑系よりも落ち着いた印象があり、涼しげなカラーなので、ここに魅力を感じる方も多いようです。
全体の青色の翡翠もあれば、差し色のような形で一部だけ青色が入っているものもあります。
他の石にも黒系のものがあるように、翡翠の中でも特にパワーストーンとしての人気が高い傾向にあります。
希少性も高く、他の翡翠とは違った独特な雰囲気があるため、好んで黒系の翡翠を身につけている方も多いようです。
主な産地はミャンマーとなっており、石によって色合いは全く異なります。
灰色のものもあるのですが、どちらかというと強い光にかざした時に色合いの見える翡翠の方が人気です。
白系の翡翠も希少色の一種です。
純粋なやわらかい雰囲気があり、温かみも感じられるような石を探している方には最適だといえるでしょう。
白い成分や物質がまざり合って白く見えているわけではなく、細かい結晶が光を乱反射することによって半透明の白色に見えるのが特徴です。
良質なものとそうでないものの見分けが難しいと言われている翡翠は、研磨前が特に判別をつけるのが難しいとされています。そのため、類似する緑色の石を翡翠と間違えて採取するケースも多いようです。
そんな翡翠を見分ける方法は、石全体に光を当てること。光に透かして見てみることで、繊維の交差具合からジェダイトなのかネフライトなのか判別できるとされています。ただし一般的に販売されている翡翠の場合、なかなかその方法で見分けることが難しいようです。
見た目だけで翡翠を見分ける場合、表面の透明度や研磨の度合いなどを確認するのがポイントになってきます。かざしたときに反対側が見えるほどの透明度がある良質な翡翠であれば、そのぶん付加価値も高くなりますよ。
監修本郷美術骨董館
「やさしく解説!みんなの中国美術入門」は、骨董品買取の専門店として40年以上の実績を誇る本郷美術骨董館が監修しています。
公式HPはこちら