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中国明代の磁器、嘉靖窯について解説しています。
嘉靖窯とは中国時代の嘉靖期(1522~1562年)に景徳鎮で造られた磁器です。
生産期間は40年間で、この時代の染付赤絵やその他には賞美すべき作品が多く見られ、青花に用いられた回青は、その後万歴(1573~1620)初期まで用いられていたとされています。
嘉靖帝代の代表的な陶磁器である嘉靖窯の特徴として、色絵金襴手があげられます。これは胎土に色絵模様を作り、次に本窯し、金箔や金泥上絵付けを施し、そのうえで錦窯で軽く焼き込む工程で制作されます。
嘉靖窯の有名な鮮紅土は嘉靖年間で絶えてしまったため、その後の作品には上絵の段階で赤絵を施す手法に変化してゆきました。
また当初は外国から手に入れて宝石を模造していた回青を、青花に使用した嘉靖の青花の美しさは特筆すべきもので、西洋ではこの青色を「バイオレットブルー(董青)」と称しています。
胎土に関してはさまざまな種類が確認されており、その理由として麻倉の良土の欠乏が伝えられ、同時期の作品は前代と比較して劣っているとする向きもみられます。
嘉靖期の景徳鎮は中国の歴史を振り返るなかでも、最も陶業が栄えた時期と伝えられており、年款を入れた官窯御器だけにとどまらず、多くの民窯製品が製造され始めました。これは前代までの窯業が、官窯中心から民窯中心へと移行し、民窯事情が中国陶磁器を反映していたことを物語る、非常に興味深い歴史と言えるでしょう。
こうして製造された嘉靖窯は民間で広く歓迎されるだけでなく、日本でも中国からの輸入陶磁器として、上流階級の人びとに珍重されました。さらには国内各地の窯業や陶工の規範として浸透し、工夫してそれらしい模倣作品を製造すべく、試行錯誤が始まるキッカケとなったのも、嘉靖窯であったと伝えられています。
ちなみにこの時期に制作された民窯製品として、古赤絵、雲堂手と呼ばれるものの大半と、各種金欄手と呼ばれるものなどがあげられます。
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