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中国で1000年以上の歴史を持つ越州窯について解説します。
越州窯(えっしゅうよう)とは、中国の浙江省慈渓市やその周辺で作られた青磁のことを言います。この地方が昔「越国」と呼ばれていたことからこの名前がつきました。1000年以上の歴史を誇り、東洋最古の磁窯だと言われています。
唐の時代に活躍した文筆家・陸羽(りくう)がお茶の知識をまとめた著書「茶経」では“お茶を美味しく飲める器”として第一に越州窯を挙げているほか、唐代終わりごろの詩人・陸亀蒙(りく・きもう)も詩のなかで “山々の緑を奪ってきたような美しさ”として青磁の色を絶賛しています。
現代で「青磁」と呼ばれる鮮やかな青色をした焼物とは異なり、素地は灰色で釉(うわぐすり)は緑がかった灰褐色。明るいものから暗いものまで、さまざまな色味があることも特徴です。
主にお椀や水注(茶道で使用される水をつぎ足すための道具)、合子(ふた付きの小物入れ)などが作られていました。
起源は古く、春秋戦国時代にさかのぼると言われており、浙江省蕭山県や紹興県で初期の灰釉陶器(かいゆうとうき)を焼いた窯が発見されています。
後漢の時代になって急速に技術を高め、青磁器を焼造。寧波市や上虞県で窯趾が確認されています。
その後、西晋時代・3世紀末ごろに青磁は完熟。六朝後期には作られる作品数が減っていき、隋唐時代には低迷期に入ります。
しかし、9世紀ごろになると新しい越州窯が登場。再び作品が作られるようになります。五代時代には、上品で優雅な青磁「秘色(ひそく)」が作られましたが、11世紀中ごろに衰退。浙江省南部にあった竜泉窯(りゅうせんよう)にとってかわられました。
秘色(ひそく)は日本にも伝わり、有名な長編物語「源氏物語」にもその名が登場。
法門寺の出土品からは青磁14点、白磁2点が検出されました。同時に検出された石碑に「瓷秘色」と刻まれていたことから、その時代の人たちが「秘色」と呼んでいたことが分かります。
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