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中国陶磁の最高峰と呼ばれる青磁、汝窯について解説しています。
汝窯(じょよう)とは、北宋時代末期(960~1127年)に宮廷用として作られた青磁の窯、またその作品。五代から宋代の時代、生産されたのはわずか20年と言われており、当時から珍重されていました。
現存しているのは世界で70点あまり。北京の故宮博物院や台北の故宮博物院、日本では大阪市立東洋陶磁美術館などに所蔵されています。
彫り模様のない灰白色の素地に、底裏までまんべんなく釉(うわぐすり)をかけています。焼成時に本体を釘で支えて全体に釉をかけるため、底の部分には釘の痕があるのが特徴。
薄い水色をしており、その美しさから「雨上がりのしめった空の色」と表現され、中国陶磁の最高峰とも呼ばれました。
汝窯の釉には装飾に使われる鉱物・瑪瑙(メノウ)の粉末が使われていたとされ、表面に表れる淡いピンク色の光沢は神秘的な輝きを放っています。
香炉やお椀、杯、水瓶など、作品の種類が豊富であることも特徴。
変わった作品には脚付きのお盆のような形状をした容器「水仙盆」という作品がありますが、正確な用途は不明。球根植物を育てる容器として使われたと言われていますが、その真相は定かではありません。
汝窯が作られていた北宋時代は、さまざまな陶磁器が魅力を花開かせた時代。とくに中国北部の地域には耀州窯(ようしゅうよう)や定窯(ていよう)、磁州窯(じしゅうよう)などの生産地があり、個性豊かな白磁や青磁が生み出されました。
そんな時代に作られた陶磁器のなかでも、汝窯の美しさは群を抜いて評価されていたと言います。
始まりは北宋時代末期(960~1127年)、生産期間は20年間だと言われています。現存している作品が少ないことから、正確な始まりや展開については明らかにされていません。
南宋時代(1127~1279年)に記された周煇(しゅうき)の著書「清波雑志(せいはざっし)」では汝窯について、汝窯は北宋の宮廷の命によって作られた青磁の窯であること、釉には瑪瑙の粉末を入れているということ、宮廷に納められなかったものは民間で売られたがすでに希少な器であったことなどの記述があったそうです。
1980年代から発掘調査が開始され、宝豊県の清凉寺にて窯址が発見されました。発掘を行なった河南省文物考古研究所の発表によると、哲宗(1085~1100年)・徽宗(1100~1125年)に上質な青磁が作られていたとされています。
現在のところ清凉寺で見つかった窯が汝窯だという説が有力ですが、これは民間向けの窯だという説もあり、いまだ謎に包まれています。
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